この翻訳の読み方

このページは、SVG Tiny 1.2 仕様のこの日本語訳に特有の事情を記載したものであり、同仕様の翻訳の一部ではありません(ただし、二次著作物としては不可分のものとみなされます)。

翻訳開始日/更新日:トップページ冒頭に記載
翻訳者:広瀬行夫 (連絡先

目次

翻訳の方針

原文の意味内容を損なわず正確に、かつ、解り易く読み易くする事を意識していますが、前者を優先させているので後者が犠牲にされている所もあります。具体的には:

この翻訳に対するご指摘 - 解釈の誤り, 誤解し易い表現等 - その他のご意見を歓迎します。この仕様書は他の幅広い仕様書(DOM, SMIL, XML, XLink, RFC, UNICODE, CSS 他)をベースにしている所があり、それらすべてを訳者が把握できているわけではありません。また、訳者の英語力や翻訳表現力も万全とはとても言えないので、意味内容を把握できていなかったり言い回しに不十分な所もあります。それらについて正しい解釈やヒントなどを訳者までご一報下されば大変助かります。

語法

スタイル付けとマークアップ

この日本語訳には原文のものに加えて以下のスタイル付けとマークアップが施されています:

スタイルシートの末尾に当訳特有のスタイルを追加しています。少し手を加えることで表示モードを変えられます:

文字コードと符号化方式

この翻訳のファイルで用いられている文字コードはユニコード, 文字符号化方式は utf-8, 改行コードは LF です。

用語の対訳

原文の用語定義で説明されていない用語(ほとんどは SVG 特有でない基礎的な用語)やこの文書の文脈で解釈すべき単語などについての一部の対訳と簡単な説明を下に挙げます。尚、この対訳はまだ確定したものではなく、流動的です。一部の用語に対する訳語は変更される可能性があります。

用語はなるべく広く用いられているものや他の仕様の日本語訳などから拝借していますが、片仮名表記の外来語よりも漢字による視覚的な意味の読み取り易さをある程度優先させています。文脈が SVG の仕様に限定され、専門用語を強調する必要性も少ないので。一部では敢えて広く使われている訳語を無視しています。また、原文を並記しているので、本文中の参照文献名にはウェブ上の日本語訳タイトル等、意訳的なものを積極的にあてがっています。

原文に使われている用語・単語などに対するこの翻訳における対訳表
原文対訳頻出する章説明
accessibilityアクセシビリティ  身体的不利を持つ人にも利用し易くするという文脈で用いられる。「アクセス性(アクセス可能性)」という訳でも良さそうだが、文脈が曖昧になるせいか、あまり使われていないようだ。
active end停止アニメーション アニメーションの活動終了
additive加算可能/加算アニメーション SMIL 用語。複数のアニメーションの効果が合算可能になる事を指す。アニメーションの章を参照。
advanceアドバンステキスト, フォント 直訳は「前進/進捗」。テキスト描画の際に、一つのグリフを描画後に次のグリフの描画に移る前に行進行方向に描画位置がずらされる量を表す(多くの場合)グリフ固有の値。文字間その他の調整を無視すればグリフが描画される文字幅とほぼ同義になる。
alphaアルファ  RGBA 画像の不透明度を表す A 成分を意味する。
ancestor先祖  要素Aが要素Bの「先祖」であるとは、XML文書木の木構造においてAがBの根元側に位置する(AがBを直接的/間接的に含む)ことを意味する。
animation, animate, animatableアニメーション, アニメーションする, アニメーション可能アニメーション 「動画」と訳すことも考えられるが、それは video の訳に採用している。 SMIL アニメーションによる定義は属性値などを時経過に伴って変化させるという抽象的なものであり、媒体が意識される「動画」では意味が限定され過ぎに思われる。
aspect ratio縦横比座標系, 変換, 単位 「アスペクト比」という訳語もあるが、より解り易い「縦横比」を採用した。
attribute属性  XML 用語。一般には、あるものに共通して備わっているとされる性質や特徴を指す。例えば HTML のアンカータグ( A タグ)でリンク先を指示する href="http://www..." など( href が属性名、"http://www..." が属性値)。この場合、どのリンクにも共通して参照先の位置( http://www... )を示す属性( href )が備わっている。
audio音声マルチメディア メディアなので「オーディオ」と訳した方が通りがいいかもしれない。
authoring tool文書作成ツール  文字どおり、文書を作成・編集するためのプログラム。人からの利用(対話的操作)が含意されている。「オーサリングツール」と訳されることも多い。
baseline基底線テキスト, フォント フォント用語。「ベースライン」より短く「基底線」とした。フォントに詳しい方には「ベースライン」の方が馴染みかもしれないが、出現場所はテキストとフォントの章のみなので戸惑われることはないように思われる。「並び線」「整列線」などと訳されることもあるようだ。フォント情報処理用語 では「並び線」と訳されている。
base value基底値アニメーション, uDOM SMIL 用語。属性やプロパティのアニメーション適用前の値。 "underlying value" も参照。
begin始動アニメーション アニメーションの活動開始
Bézierベジェパス ベジェ曲線とは代数曲線の一種であり、ベクターグラフィックスの世界において曲線の表現に最も広く利用されている。フランス人数学者の Pierre Bézier が考案したもので、発音的には「ベジエ」と記すべきようだが、訳語としては「ベジェ」が定着しているようだ。
bidirectional双方向テキスト 双方向テキストとは、横書きにおいて左→右(欧文など)と左←右(アラビア語など)の両方向が入り混じったテキストを指す。略称として "BIDI" も定着しているようだ。「両方向」と訳されることも多いようだが、どちらが適切か判らない。対話性( "interactivity" )も双方向性と訳されることがあるので区別するためにむしろ「両方向」の方が良いかもしれない。
bindingバインディング  "bind" の直訳は束縛とか結びつけといった意味。バインディングとは、何らかの仕様(この仕様では主に SVG の DOM インターフェース)を特定の言語(特にプログラム言語)から利用できるようにする目的で言語依存の形で結び付けたものを指す。
blend混色塗り 「混色」とは言ってもアルファチャンネルも関る。そのまま「ブレンド」と訳されることも多い。
bounding box包含ボックス  「バウンディングボックス」ではいかにも長いので「包含ボックス」。より厳密に「最小包含ボックス」とすべきかもしれないが、「包含ボックス」でも十分意味が伝わるように思われる。「境界ボックス」という訳語もあるようだ。SVG 1.1 の訳では以前「包含矩形」と訳していたが、ボックス=囲うものという意味で「包含ボックス」に。
cellセルテキスト, 対話性 フォント用語。直訳は「細胞」「小部屋」等。グリフのセルとはグリフが描画されるときに占める(グリフ図形の基準になる)矩形領域を指す。
channelチャンネル文書構造 RGBA 色の各成分、赤(R),緑(G),青(B),不透明度=アルファ(A) を表す。「チャネル」という訳が正しいような気もするが、普及率は「チャンネル」の方が高い。
child  XML 文書木においてノードAがノードBの「子」であるとは、AがBの直下に包含されていることを意味する。その事を強調するために「直接の子」と書かれる場合もある。ノードが要素の場合は「子要素」。
color   
computed value計算値  CSS 用語。例えばプロパティに指定されている値が相対的な単位であったり、親から継承されている場合、計算値はその値を(プロパティに定義された規則に従って)絶対的な値に換算したものを表す。
content内容文書構造 XML 要素や文書の中身を指す。専門用語らしく「コンテンツ」とすることも考えらるが、頻度の高い語なので。
coordinate座標/座標成分座標系, 変換, 単位 「座標」と書くと日本語では空間の点を指定する複数の値の対を意味するようだが、英語では "coordinate (x, y)" とか複数形にして "pair of coordinates" などと書かない限り、座標を指定する個々の成分の意味になる。 "odd number of coordinates" を「奇数個の座標」などと訳すと意味が曖昧になるので個々の成分を指す場合は「座標成分」と訳すことにする。
cumulative累積的アニメーション SMIL 用語。アニメーションが反復される度に変化がリセットされずに差分が累積されていくことを指す。アニメーションの章を参照。
dashダッシュ  点線のストローク。
descendant子孫  XML 用語。 XML 文書木においてノードAがノードBの「子孫」であるとは、木構造の中でAがBの末端側に位置する(AがBに直接的/間接的に含まれる)ことを意味する。
declarative宣言的  何らかの効果を得るための処理を記述するのに汎用的なプログラム言語ではなく、その目的のために用意された専用の言語機能を用いることを指す。 宣言型プログラミング の概念も参照。
dispatch配送する対話性, アニメーション, uDOM イベントをそのときの状況に応じて適切な要素へ送る(要素に結び付けられたイベントハンドラに渡す)処理を指す場合に用いている。
distance距離  "distance-along-the-path」は「パスに沿う距離」(パスの始点から辿っていくパスの長さの計量)としている。
document文書  「ドキュメント」と訳されることも多いが頻出するので「文書」。
duration持続時間アニメーション SMIL 用語。時間軸の中の(始点と終点のある)期間、またはその期間の長さを表す(後者が多い)。どちらを意味するか文脈に依存する曖昧さが生じ得るので変更するかもしれない。
element要素文書構造 XML 用語。 XML 文書の構造を組み立てる基本的な部品(HTML タグのようなもの)。要素は他の要素を含む(入れ子にする)ことができ、全体として要素の木構造が形成される。文書木構造の中ではノードの一種を表す。
eventイベント対話性 利用者の行為(例えばマウスクリック)あるいは何らかの状態変化が生じた際にシステムやプログラムへ通知されるもの(どのような種類の行為あるいは変化だったかなどの情報を包み込んだオブジェクト)。
exception例外  「例外を投げる」,「例外処理」といった使われ方をする。プログラムの処理において例えば意図されていないパラメタが与えられたなどの理由で正常な実行が出来なくなったときにプログラムを動かしているシステムが生じさせるもの。通常はその状況の詳細情報が一定の形式のオブジェクトにくるまれ、システムまたはプログラムに用意された例外処理機能に渡される。
facilityファシリティ, 機能, 枠組み 他 直訳は扱いやすさ、容易さ、特定の目的(を達成するのを容易にする)のために用意された、施設/設備といった意味で、日本語には対応する語が無いようだ。「設備」と訳すと何か物理的な存在が連想されて違和感がある。文脈によって「機能」等と訳しているが、「機能」は "function" や "feature" の「機能」と重なり今述べた含意が失われてしまい、どうもすっきりしない。
feature特色機能  一般的な訳は特色、呼び物。専門用語としての「特色機能」という命名は聞いたことが無いので "feature string" などは専門用語らしく「フィーチャ文字列」などと訳すべきかもしれないが、それも普及しているわけではないようなので「特色機能」を採用することにした。
fillフィル/内部への塗り  「塗り潰し」と訳せなくもないが、「 "paint" = 塗り」とまぎらわしいので避けた。「ストローク」と並立する用語でもあるので、カタカナのまま「フィル」を採用。「内部への塗り」としている箇所もある。
focus, focus ringフォーカス, フォーカス環対話性 フォーカスとは現在どの(通常はスクリーン上の)対象がキー入力など利用者の操作を受け付ける状態になっているかを指示するもの。通常はどの対象がフォーカスされているか利用者が判別できる様、ハイライトされたりする。 フォーカス環とは、利用者により前または次の対象へのフォーカスを変更が指示された場合の移動順序(どの対象を前または次の対象にするか)を規定するもの。同じ方向への移動を繰り返すと一周して元の対象にフォーカスが戻るのが通例なので "ring" - 「環」という語が用いられているようだ。
fragment素片/文書片文書構造 XML 用語。 XML 文書木において一つの部分木をなす文書の構成部分を指す。 XML の構文上、部分木は文書内で連続するテキストになるので "fragment" - 「片」という語が利用されているようだ。専門用語らしく「フラグメント」と訳されることも多いが、基礎的な用語でもあり、簡潔にするため "fragment" 単独で現れた場合は「素片」( JIS で利用されているようだ)、 "document fragment" のときは「文書片」と訳すことにする(つまり「素」は修飾の無い汎的な「片」を表すと解釈する)。
generatorジェネレータ  一定の形式のデータの生成を目的とするプログラム。利用者との対話性は意識されない。「生成器」という訳もあるようだ。
gradientグラデーション  直訳は「傾き・勾配」といった意味だが、ここでは色を徐々に変化させる塗り方を指す。グラフィックスの世界では「グラデーション」と訳されるのが定番のようだ。 "radial gradients" は「放射型グラデーション」、 "linear gradients" は「線型グラデーション」としている。(発音的にも意味的にもグラデーションは "gradation" なのにどうして "gradient" なのだろう?)
handlerハンドラ対話性 イベントハンドラとは、イベントが生じた際に一定の処理を行うために起動されるプログラムのルーチンを指す。
hintヒント  ヒントとは、ソフトウェアの文脈では、何らかの処理を行うプログラムに対しその速度や品質向上の目的で与えられる情報で、その処理にとって必須ではない類のものを特に指すようだ。例えばフォントのヒント情報は、フォントを低解像度の表示装置に描画する際に、文字のつぶれを可能な限り回避して視認性を高めるためにフォントに付加される補助的な情報を意味する。
identify, identifier識別する/特定する, 識別子   
image画像  SVG においては必ずしもラスター画像を指すわけではないことに注意。ただし SVG Tiny 1.2 の場合、 image 要素にグラフィックス要素は許容されないのでラスター画像を指す。
implementation実装  「実装する」とは、ある機能または仕様を現実に動作するプログラムとしてソフトウェアに追加する、あるいはソフトウェアを新しく開発すること。
indicate指示する  同じような文脈で "specify" も頻繁に用いられているが、ほとんどの場合、翻訳上の解釈は行わずに直訳的に「指示」に統一している。
inherit継承する  CSS 用語。プロパティの継承とは、その値が親要素から暗黙のうちに子要素のプロパティとして利用(継承)されることを指す。
initial value初期値 
inlineインライン  AをBにインラインに埋め込むとは、Bの中にAへの参照でなくAそのものを記述すること。「行内」と訳せなくもないが文脈をはっきりさせるため外来語のままにする。
inline-progression-direction行進行方向テキスト 文字どおり、テキストが描画されるときの行の進行方向を意味する。縦書なら上から下へ等々。「書字方向 - writing direction" 」という語も現れるが、こちらは言語との結びつきが強いものになる。
interpolation補間アニメーション 補間とは、離散的なデータ(飛び飛びの値)が与えられたときに、個々の値の間を合理的につないで連続的なデータを復元する、あるいはより稠密なデータを作り出すことを意味する。
instanceインスタンス  直訳は「実例」。インスタンスとは、ひな形から複製された実体としてのオブジェクトを意味する。
interact, interactive, interaction, interactivity対話する, 対話的, 対話, 対話性  対話的(インタラクティブ)であるとは、利用者とプログラムとの間で対話的操作(プログラムが利用者の操作を受け付けてその反応を返す)が可能であることを指す。「双方向」という訳も一般向けに使われていたりするが、こちらは通信端末どうしあるいは端末とサーバとのやりとりに重きが置かれているように感じる。また、動詞のときに「双方向する」などと書けないのでは便が悪い。
interfaceインターフェース  直訳は(相互に)作用を及ぼす境界あるいは接点。ソフトウエアの文脈では、システムのプログラムやライブラリが別のアプリケーションプログラムから利用される目的で外部に提供/公開している規約、具体的には一連の定数, 変数, ルーチンや引数の組を意味する。ユーザインターフェース( UI )とは、プログラムを人間から利用しやすいようにする目的で設計されたプログラムと人間の操作を仲介するプログラム(あるいはそのデザイン)を意味する。尚、「インターフェイス」と訳されることも多い。
kerningカーニングフォント フォント用語。一般に文字配置バランスの向上目的で、字送りの際に文字固有の字幅と異なる字幅(通常は固有の字幅より狭い)による字送りを行って文字間を調整すること。例えば文字列 "VALLEY" (峡谷)を通常の字送りで描画すると "V" と "A" の隙間が広く見えて "V" と "ALLEY" (路地)に誤読されるおそれまで生じる。こうした場合に対処するためにも "V" と "A" がカーニングの対象になる。
lacuna value(訳語は未定)  定義は1章の用語を参照。直訳は「欠落」「脱落」。
layout配置テキスト 「配置」では意味が広過ぎるきらいもあるので文脈によっては「レイアウト」が使われている所もある。
linear線型  一般的な意味は変化の量が一定でグラフにすると直線になることを表す。「線型空間」という場合は、加算/スカラー積が可能で、それらの演算に関して閉じていることを意味する。「線形」という訳もあり、こちらの方が広く使われているが、元々は「線型」と訳されていたらしく議論も割れているようだ。 "shape" = 「図形」とはっきり区別させるため、当訳では「線型」とする。
mediaメディア  「媒体」という訳もある。
methodメソッド  ここでは主に、 DOM に定義されているインターフェースのメソッド(一定の処理を行うルーチンのようなもの)を指す。 "method call" は「メソッド呼び出し」としている。
motionモーションアニメーション
nodeノード  一般的には木構造や階層構造などのグラフ構造における頂点(枝分かれの分岐点や端点)を指す。例えば XML 文書では個々の要素を指し、 DOM 木では木を構成する個々のオブジェクトを指す。
normative正式な  仕様の一部として、標準として尊守されるべき規約という意味。 "informative" の対語。
name space名前空間文書構造 異なる XML 言語を混在させるときに、それぞれの語彙が衝突しないようにするために考え出された枠組み。それぞれの言語が固有の「名前空間」を持つ。言語間で同じ名前の語彙は名前空間接頭辞を付けることで、どちらの言語のものかを区別できるようになる。
objectオブジェクト  直訳は「物」とか「対象」。ここではおおむねインスタンスを指すものと考えてよさそうだが、訳者にはこの言葉が表す概念をきちんと説明できる自信は全くないので、その使われ方から理解していただくというより他ない。強いて述べれば操作の対象とか一定のふるまいを持つ何かといった、外から眺めてみたときの「モノ」を表すのではないだろうか。
one corner第一頂点  「one corner of a rectangle」(矩形の第一頂点)とは矩形の4頂点のうちX,Y座標がともに小さい方をとった頂点(矩形がそのままディスプレイに表示されたときは左上頂点)を指すものと思われる(この句の正式な定義は見つけることができなかった)。
opacity不透明度 
outline (of a shape)外形線  図形の外形線は図形の内側を通ることもあることに注意(例えば自分自身と交差するパスによる図形など)。そんなわけで「輪郭」では不適切に感じられる。より汎的かつ幾何的なニュアンスが感じられる「外形線」を採用。
paint, painting塗る, 塗り  フィルまたはストロークを図形やテキストに適用すること。ただし "paint server" は「ペイントサーバ」と訳している。
panパン  一般的な意味は、カメラの向く方向を変えながら撮影すること。ここではウィンドウに表示されている画像などをマウスで掴んで動かすなどの操作によりスクロールさせることを指す。スクロールにはいわゆるスクロールバーあるいはウインドウやフレームの存在が意識されているが、パンにはそれが意識されていない。 SVG の文脈では2次元なので、このこと以外に違いは無いと思われる(対象が3次元の場合のパンはカメラ位置の固定が含意されるのでスクロールとはモデルとしての意味が異なり得る)。
parent  XML 文書木においてノードAがノードBの「親」であるとは、包含関係においてBがAの直下にあることを意味する。その事を強調するために「直接の親」と書かれる場合もある。
parse, parserパースする, パーサ  構文解析とも訳される。パースとは、プログラムが一定の構文規則のもとに外部データを走査して解読する(プログラム内部の処理に適したデータ構造に変換する)こと。ただし、意味内容の解釈は一般に含まれない。パーサはそれを行うプログラムを指す(構文解析器とも訳される)。
pathパスパス 直訳は一本の道, 筋といった意味。グラフィックスの世界ではそのまま「パス」と訳されることが定番のようだ。「経路」では意味が広過ぎるきらいがある。
pixel画素  単位としては、物理的な装置の画素あるいはラスター画像の画素とは必ずしも一致しないことに注意。
polyline折れ線  「多角形( "polygon" )」との違いは、開いた図形であること。
presentation attributeプレゼンテーション属性スタイル付け 長いので「表示属性」と訳すことも考えられる。何かを「表す」「示す」「見える」ようなニュアンスを持つ語は他にも display, show, render, indicate, represent, present, view, 等々があり、当訳ではそれぞれ区別している。
presentation value表示値uDOM SMIL 用語に思われる( uDOM の中では定義されていない)。属性やプロパティに対するアニメーションを適用した後の値。つまり実際の表示に用いられる値なので「表示値」。
profileプロファイル  直訳は横顔とか概観図といった意味だが、仕様などを参照される/利用される目的で一定の形式にまとめたものと考えれば良いだろう。人物の紹介などでよく使われている「プロフィール」は、どうもフランス語の発音から来ているようだ。
propertyプロパティ  CSS などのスタイル付け言語の用語。直訳は「所有」とか「資産・所有物」あるいは「ものの性質」といった意味。「特性」という訳語もあるがあまり見かけない。 スタイルシートと継承の仕組みにより、一定の種類/範囲の要素に対し、スタイルシート, style 要素, 要素の style 属性を用いてプロパティの種類に応じて何らかの効果を選別的かつ包括的に与えることが可能になる(スタイルシート言語が CSS なら例えば: style="fill:red; stroke:blue; stroke-width:3" 等々)。
raiseレイズするuDOM 例外を発生させること。単に「生ずる」と訳しても問題は無さそうだが、例外処理の過程で例外が関数呼び出しの入れ子から次々と戻されて浮かび上がるような所があるのでこの語が使われるようだ。その意味では例外処理の過程における例外オブジェクトの伝達を指す。「例外」参照。
raster imageラスター画像  JPEG や PNG 形式など、色を持つ点の集まりで構成された画像。拡大するとドットが目立つようになる。
rectangle矩形  「長方形」と訳すことも考えられるが、「矩形」には回転されていない状態(辺が座標軸に並行)も含まれるように感じる。ここでの "rectangle" は頂点の座標と幅と高さで指定されるものであり(基本図形の場合は角の丸め方も)、幾何的な意味でより汎的でプレーンなニュアンスが感じられる「長方形」とは区別した。
render, rendering描画する, 描画  一般的には「翻訳・解釈して表現・演出する」といった意味がある。ここでは主に内部的な処理を施した後、視覚表示装置/キャンバスに描画出力する意味に使われているので、単に「描画する」とした。「描画する」より「出力する」の方が適切な場面(例えば音声など)もあり、そのようにしている箇所もある。 "rendering" の訳には「レンダリング」が一般的に用いられているので、 "render" も「レンダリングする」と訳すことも考えられるが頻出する語だけにかなりまどろっこしい。よって "rendering" も混乱を避ける意味で「描画」と訳す。
resampling再標本化  "sample" - 「標本」参照。
resourceリソース文書構造 「資源」という訳もある。データを構成する素材を指す。
rootルート  木構造( "tree" を見よ)における根元のノードを指す。例えば「ルート要素」は「文書木」における根元の要素を指す。
sample, sampling標本, 標本化  標本化とは、連続的なデータ(すなわち連続的な写像)が与えられたとき、一定の間隔ごとに切って代表値の集まりを抽出することであり、標本化された結果を標本と呼ぶ。現実の風景の写真をスキャナーで読み取ってデジタル化したラスター画像は標本の一例である。再標本化 = "resampling" とは、一度標本化された結果を補間などにより連続的なデータに戻してから別の間隔を用いて標本化することを指す。
scale, scaling, scalable伸縮させる, 伸縮, スケーラブル座標系, 変換, 単位 (変換の文脈において)伸縮とは、X軸/Y軸あるいはその両方に沿って伸縮させることを意味する。 SVG の "scaling" にはX軸とY軸で不均等な伸縮変換も含まれるので「等倍」では不適切で「拡大縮小」も意味が曖昧になる。「スケーラブル」については「コンセプト」の章を参照されたし。
scopeスコープ  「有効範囲」「可視範囲」という訳もある。
scriptスクリプト  プログラミング言語の文脈では一般に Javascript のようなインタープリタを介する言語を指すことが多いが、ここでは JAVA などのコンパイル言語も含まれている。自然言語の文脈では一定の自然言語圏(の表記に使用される文字群と表記規則のセット)を指す。ラテン (ローマ) 文字を使用する西欧諸言語はローマン・スクリプト等々。こちらの意味で用いられるのはほぼテキストの章のみ。
segment区分  パス区分とはパスの頂点から次の頂点までのパスの一部分を指す。
selector選択子  CSS 用語。スタイル付け規則のうち適用範囲を定める(「選択する」)部分を指す。「セレクタ」という訳も普及している。
semantics意味内容  データや規則などが持つ「意味」を指す。"syntax"(データや規則の形式や構造)と対立する概念。栗原潔氏のコラムに解り易い説明が載っている。
shape図形  「形」では語義が広いのでより幾何的意味に限定させるため「図形」と訳すことにする。「形状」という訳も考えられるが何らかの特徴が類似した一定の範疇の形のような意味にもとれるので避けた。
sibling attribute隣接属性  この語の明確な定義を記述した文書が見当たらないが、要素のある属性の隣接属性とは、同じ要素における他の属性を指すようだ。
skew斜傾座標系, 変換, 単位 「斜傾」(変換)という訳語は訳者が適当にあてがったもの。グラフィックスの世界では「スキュー」や「シアー」と訳されるのが一般的のようだが、馴染みの無い方にとっては「斜傾」の方が感じを掴み易そうだ(もっとも、この仕様を読まれるような方には常識的だろうが)。他の変換(伸縮, 回転, 並進)と同じように二字熟語にすることにもこだわった。
specify, specifier指定する, 指定子  同じような文脈で "indicate" も頻繁に用いられているが、概ね、翻訳上の表現の変換を行わずに直訳的に「指定」に統一している。
stand-alone, standalone独立  部品としてしか利用できないものではなく、それだけで完結して利用できるという意味で主に用いられている。
strokeストローク/外形線への塗り  直訳は一描きで線を一本描くといった意味。「外形線への塗り」としている所もある。
stylingスタイル付けスタイル付け スタイルシートなどを利用して文書の見栄えを定めること(背景色を変えたりテキストを太字にする等々)。文書のマークアップから分離された概念(元々 HTML などのマークアップ言語で意味マークアップと見栄えのマークアップが一緒くたに扱われていたものが分けて扱われるようになった)。マークアップ言語も参照。
supportサポート  「対応する」「支援」とも訳せなくはないが文脈に合わない場合も多いのでそのまま「サポート」に統一。
syntax構文/シンタックス  "semantics" と対立する概念( "semantics" 参照)。「構文」と訳している所が多いが、単なる文字や記号の並べ方の規則以上の、データのやり取りの規則など、より抽象的な記号の扱い方の枠組みなどの意味合いも含まれているようで、「構文」では役不足にも感じる。後者の意味合いが特に意識される所では「シンタックス」としている。
target対象/標的  何らかの効果が適用される対象を指す場合は「対象」、イベントの配送先となる要素を指す場合は標的としている。
throws投げる  メソッドが例外を発生させる場合に用いられる。 "raise" も参照
time container時間コンテナアニメーション SMIL 用語。
translation並進座標系, 変換, 単位 並進(変換)は平行移動による変換と同義。あまり聞き慣れない語かもしれないが、他の変換(伸縮, 回転, 斜傾)と同じように二字熟語にすることにこだわった。
tree  「ツリー」とも訳される。「文書木」とは XML 文書における要素の包含関係に基づく包含階層の木構造を指す(要素が枝分かれ部分、要素の子要素を各枝に比喩させた意味において)。「描画木」,「インスタンス木」という言葉も現れるがいずれもこのような木構造を表す。描画木は描画の対象と処理手順の構造を表すものと考えて良いだろう。
trigger誘発する対話性, uDOM 他の何らかの処理を生じさせる引き金になること。
underlying value(訳語未定)アニメーション SMIL 用語。基底値( "base value" 参照)をより一般化した概念。属性やプロパティに対し、他のアニメーションが適用された後の、当該アニメーションが適用される前の、属性やプロパティの値。
Unicodeユニコードテキスト いわゆる国際文字集合。 Unicode とそのまま英単語で記される事の方がやや多い。ユニコード・コードポイント( "Unicode code point" )はユニコード文字の一つの文字を表すコード(どの文字なのか識別する数値)を意味するようだ。
user利用-/利用者  一般的には末端の利用者(この場合は「ユーザ」と訳す場合もある)。 uDOM の文脈では uDOM を利用して文書のスクリプトを組む者としての利用者。座標系の文脈では、利用座標系(user coordinate system), 利用空間(user space), 利用単位(user units)等々。
user interfaseUI  「ユーザインターフェース」ではいかにも長いので UI と略す。
version版/バージョン  「将来版」など、どのバージョンか特定されないものを指す場合は「版」、バージョン番号や実在する仕様など特定のバージョンを指す場合は「バージョン」としている。
video動画マルチメディア メディアなので「ビデオ」と訳した方が通りがいいかもしれない。
viewビューリンク 文書の表示状態( SVG 文書の場合はズームとパンの状態)を指す。
viewerビューア  文書を表示するためのソフトウェアを指す。
viewportビューポート座標系, 変換, 単位 定義は1章の用語を参照。「表示域」という訳もある。
World Wide Webウェブ  World Wide Web を指す "Web" の頭文字は常に大文字。日本語では「ウェブ」(または "WWW" )と略されるのが大多数。
zoomズーム対話性 伸縮とは異なり、一様に拡大または縮小して表示させることを意味する。拡大/縮小いずれかに限定する場合はズームイン/ズームアウト。

SVG 1.1 仕様との差異

SVG 1.1 Full からの相違点を大まかに述べると、まず、実装実績が増えてフィードバックも入った結果、 1.1 のエラータの訂正も含め、新たに説明が増補され、仕様の定めるふるまいの曖昧な部分の多くが解消されています(例えば「 lacuna 値」や「サポート外の値」などの新しい概念の語の導入や 語法の厳格化など)。機能面では全般的に実装の容易さや相互運用性( uDOM )などウェブ利用が意識されたものになり、グラフィックス関連機能(特にクリッピング/マスク, フィルタ, テキストのフォント/グリフ関連)が削減されている一方、メディア, テキストエリア, 座標系変換( TransformRef )などの新機能のみならず、特にスクリプトや対話性, UI 面が増強され( DOM3 の導入や uDOM の trait 機能など)、 RDF 関連の記述も増やされています。トップページにも記載されているように、この仕様は携帯端末のみを意識したものではなく将来的に SVG の中核機能となるものとして作成されているようです。仕様自体の分量はむしろ 1.1 Full より増え、中身も濃くなっています。翻訳も拙訳による SVG 1.1 の日本語訳から移植しましたが、半分以上は新たに翻訳されたものになっています。

この翻訳の著作権と利用について

この翻訳「SVG Tiny 1.2 仕様」は法的には二次著作物にあたり、この翻訳のいかなる利用においても原著作物の著作権法上の制約は課せられることになりますが、二次著作物に関しての著作権は翻訳者に帰属します。二次著作物としては、翻訳者は次のこと以外に利用, 複製, 頒布には特に制約は設けません: (1) 頒布に際しては、翻訳者, 出典, この翻訳のいつの日付のものを元にしたかを利用者に明示すること(これについてはトップページに記載されているので自動的に守られる)。(2) 引用する場合は引用元を利用者に明示すること。