「オリュデニズ」という町に滞在しながら、砂州に囲まれた「オリュデニス」という静かな入り江を見ていなかった私は、滞在最後の夜ボラさんに、もう足元はほとんど海というシーフードレストランに連れていってもらいました。ホテル・メディという有名なホテルのすぐそばです。この日朝からリキヤの岩窟墓を見に行くはずが、体調を壊して日中どこへも出かけられず、時間潰しに彼から囲碁を教えてもらっていた(!)のですが、ここまで来てホンモノのオリュデニズを見せないのは、ガイド精神にもとる!と思ったか、夜の9時半を過ぎた頃に出動命令が出されました。ホテルからは歩いても20分くらいとのことで歩き始めたのですが、うまい具合に例のごとく途中で出会った彼の知り合いにレストランまで車で送ってもらえました。辺りはこんな時間でもほの明るいのです。波打ち際きりきりのテーブルに案内され、一通りの注文をした後料理が出てくるまでの少しの時間、すぐ傍に繋がれていた2人乗りのペダル式ボート(スワンの形の、ね!)で入り江に出てみました。月明かりの中、ポスターでよく見る例の砂州のあたりがぼんやりと浮かび上がっています。(ほぉ〜っ、これって彼氏と来たら最高のシチュエーションやん!)水面はまったく波立っていません。湖に漕ぎ出しているような感じです。これこそ、この入り江がオリュölü (死んだ)デニズdeniz(海)と名づけられた訳か…と大いに納得したのでした。ただし、皆さんのよく知っているイスラエルとヨルダン国境の死海とちがって、ここではプカプカ浮きません。ölü と聞くと「死んだ」から派生して「死人」という意味を思い浮かべてしまうのですが、その他にも「静まりかえった」という意味があって、本当はこの意味で名づけられています。この夜の雰囲気からは「静謐の海」と呼ばせていただきましょうか。

2003年6月

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死海だけど死海じゃないオリュデニズ