力戦隊(2)

今回のあらすじ:郊外開発地と思しきだだっ広い荒れ地に、いくつかの怪しい影。
「フハハハハ! 俺の名は、悪魔怪人スイハーン! 飽くなき暴飲暴食を繰り返す現代人の度し難いまでに乱れきった洋食文化かぶれを正すため、白米が本来もつ芳醇な味わいと旨味を伝えることで食生活を健康な方向に是正してやるのだぁッ! おまえら、日本人なら米を食えーッ!」
「・・・言っちゃナンですけど、いい加減ワンパターンですね、この導入。
 <今回のあらすじ>の所も前に使ったスクリプトのコピー&ペーストだし・・・」
「馬鹿者、ワンパターンではない! 様式美と言え、様式美と!」
「大体、現代人の荒んだ食生活を健康に導く、って善いコトじゃないですか。我々、ワルモノ団なんですよ? 悪いコトするのが仕事でしょ?」
「・・・分かっとらんなー、戦闘員1号。いいか・・・<食>というものはだなぁ、生きとし生けるもの全ての絶対的必然前提であって、善悪などという俗世的概念を超越した次元に存在する崇高なものなんだぞ? いずれ我々が支配する下々の者共が、全て乱れきった食文化に蝕まれていては、いくら支配する側が正しい食の概念を持っていたとしても、衝突は避けられまい」
「そ、そういうものなんですか?」
「そういうものだ。だから今のうちから啓蒙しておこうという総統の御意向から発動したのが今回の作戦なのだ。まったく、いつもながら総統の采配には非の打ち所がない・・・そもそもなあ、パン食なんて、おまえ、あんな小麦粉のカタマリで本当にキチンと炭水化物が摂れると思ってるのか? だいいち欧米の食文化なんざ西洋合理主義だとかフザけた理屈ぬかしやがってバリエーションも極端に少ないし、ハムエッグだのトーストだのコーンフレークだの、そんな貧相な朝食で一日を始めてイイと思ってんのか? いや、断じて良くない!」
「そんなこと、私に言われましても・・・」
「その点、米はいい。米はいいぞー。炊き立てのふっくらとした張り、艶、香り・・・それらが快く食欲を引き出し、パンと違って、おかずナシでも一気に何杯でもイケるし、おかずがあれば更に美味しく、しかも、どんなものとでも食い合わせよくバリエーションに一工夫もるだけで毎日の食事が楽しくなる。栄養素的にも主食として申し分ないバランスの良さ、まさに完全食! それなのに、貴様らは何故ラーメンだのジャンクフードだのと、心ないモノばかり口にしたがるのだ?何がジェラートだ、気取りやがってフザけんなッ! 日本人なら、おとなしく冷凍ミカンでも食ってりゃイイんだあああーーーッ!」
「いや、だ、だから、私に言われても困るんですけど〜」

「そこまでだ、怪人めッ!」

「ぬうぅ、誰だッ!」
「またこのパターンかよ・・・」

と、スイハーンが振りさけ見たその先、小高く突き出した崖の上には5つのシルエットが!?
ガイーーーン!(効果音)

「天知る! 地知る! 人ぞ知る! 貴様の悪を知っている!
 罪なき人の平和な世界を土足の下に踏みにじる・・・
 法で裁けぬ悪党ならば、俺達5人の力でもってどいつもこいつもブチのめす!」

「だから今回は悪じゃねえって言ってんのに・・・人の話聞いてねーなコイツら」

ジャゴオオォォォーーーン!(効果音)
「でぇいやああああああああッ!
 キ! ア! イ! レエエエェェェェーーーーッド!!」

ジャッキィィーーーン!(効果音)
「どぉすこおおおおおおおおいッ!
 キ! ア! イ! イィエロオオオォォォーーーーーーッ!!」

ズギャアァァーーーーン!(効果音)
「ぐうううおおおおおおおおおッ!
 キ! ア! イ! グッリイイィィィーーーーーーーンッ!!」

ドッガアアアーーーーン!(効果音)
「っとぉりゃああああああああッ!
 キ! ア! イ! ッピイイィィィーーーーーンクッ!!」
 

「・・・・・・(うしろ向いて携帯電話で)・・・いや違うって、そんなんじゃないって。ちょっと急に仕事はいっちゃってさ・・・うん、ホントごめん、今度メシおごるから・・・・・・えっ? フランス料理・・・? まいったな・・・・・・わかったよ、うん、じゃあ日曜に渋谷、いつもの場所で」
 

・・・・・・・・・・・・・・・・

キメのポーズを取ったまま首だけでブルーに振り向く四人、場に訪れる鈍痛的沈黙。
「・・・ったく、宏美のヤツちゃっかりしてるよなー・・・
 あれっ、なに? もしかして今、キメポーズとってた?」

「ブルー、あなた・・・」
「これから戦闘に臨もうって時に・・・」
「しかも僕達にとって一番大事なキメのポーズの時に・・・」
「ケータイで彼女と話してんじゃねえええええええよ!」

「いや違うよ、彼女とかじゃねえよ! ただ、なんつーか、友達以上恋人未満っていうか・・・」

ブッ飛ばすぞテメエ
「だ、だめよ落ち着いてレッド!」
「今は、とにかくポーズをキメるのが先決だよ!」
「そうタイ、気合とチームワークがオイドンらの戦力とよ!」

「おまえまたしゃべり方変わったな。もはや何弁だかも分からん」

「・・・ふー・・・まあいい、ブルー、次こそはちゃんとキメろよ。
 もし次もダメだったら、その時は・・・隊から抜けてもらう。いいな」
「そ、そんな!」
「いくら何でも厳しすぎるよ! ブルーはまだ僕ら全力戦隊に慣れてないだけなのに!」
「慣れたくもねえよ。でもまあ分かった、それでいい。むしろ望むところだ」
「ぶ、ブルーどん!」
「何が<どん>だ、変な呼び方すんな馬鹿が。大体おまえ前回そんな風に呼んでなかったろ」

「ゥうっしゃああーっ! じゃあみんな、キメのポーズいくぞォッ!」

《 おうッ! 》

「せーの、」

《 5人そろって! 全力戦隊ッ!キアイマン! 》

ドッゴオオァァァーーーーーン!(爆発)

(・・・さっそく次の出動の時わざと失敗して除隊さしてもらおう)


「噂に聞いてた通り、最悪のチームワークですねー」
「いや、俺もケータイーと飲み屋いった時に直接コイツらのこと聞いたんだけど、なんか、マジで相手すんの面倒くせーなコイツら。スッゲエやる気なくすっつーか、もう俺、いきなり巨大化してケリつけちゃってイイかな? さっさと帰りたくなってきたマジで」
「構いませんでしょ、どーせ結局そうするんですし、同じことですよ」
「ほんじゃま、いっちょ巨大化しとくか」

スイハーンが投げやりにポーズを取るなり、体中の細胞が凄まじい速度で増殖を開始、みるみるうちに身長40〜50mはあろうかという巨体に!
「ああッ、まだ僕ら各々の武器で戦ってないし、<全力ビッグバン超時空ド根性バズーカ>も発動してないのに巨大化するなんて、ひどいセオリー無視だ!」
「許せないわ!」
「おめーらが許せねーのは怪人の悪事じゃなくてその点かよ」
「レッド、本部に キアインガーGの出動要請タイ!」
「おうッ! (ブレスレッドに向けて)こちらキアイマン、本部、応答せよ!」

<はい、こちら本部。レッド、どうしたの?>

「ヨシミちゃん、怪人が巨大化した!すぐキアインガーGを出してくれ!」

<・・・あのねえ、あんた達、ことあるごとにロボット出せ出せ言うけど、あれ一回出動さすだけでいくらかかると思ってんの? そんな、説明も何もない、しかも口頭での出動要請だけでポンポン出してイイってもんじゃないのよ本当は? そこんとこ分かってる? 大体さぁ、ロボ出した後の毎回の被害請求だって総額で・・・>

「いいから早くしてくれーッ!」

ところ変わって全力戦隊本部基地、統合作戦司令室。司令官席に腕組みで佇むやたら精悍なヒゲのナイスミドルの傍ら、数人からなるオペレーターのうちの一人(ヨシミちゃん)が駆け寄る。
「という訳で、キアイマンからの要請なんですけど・・・どうします、司令?」
「うむ・・・キアインガーG、出動だ!
「ちょっ、ちょっと司令、そんな即決で・・・こないだだってビルは倒すわ鉄塔は折るわアスファルト液状化さすわで、地域住民から抗議殺到だったんですよ? 基地のポストにも、カミソリ入りの封筒とか鉄クギ爆弾の小包が届いてましたし、これ以上の無闇な出動はヤメといた方が・・・」
「では君は、このままワルモノ団の巨大怪人によって都市を壊滅させろと言うのかね?」
「・・・あの人達、そんな悪いコト出来ませんよ、たぶん」
「とにかく出動だッ! せっかく建造したんだから、出番がなくてはキアインガーGが勿体な・・・じゃなくて、えーっと、その、だから・・・・・・えぇい、いいから出動なんだってば!」

「(・・・・・・今からでも遅くない、仕事、変えよう・・・)」

基地から射出された五体の戦闘機が空中で変形合体し人型になり、巨大化したスイハーンの前に立ち塞がる。信じられないほど大ジャンプして事も無げにコクピットに乗り込むキアイマン達。
ド根性合体、キアインガーG! 見参ッ!

「出てくるまで随分と時間かかったな・・・おまえら、ほんとチームワーク悪いぞ」

「う、うるさい! とにかく、いくぜスイハーン! どおりゃああああああッ!」

一直線に突っ込んでパンチするキアインガーG。見え見えの予備動作から難なくスイハーンがかわすと、パンチはその先にあった山肌を吹き飛ばして散らし、土砂崩れが発生して幾つかの民家が飲み込まれた。巨大ロボのコクピットに微かに聞こえてくる悲鳴。青ざめるブルー。
「あーあ、やっちゃったよ。俺しーらね」

「・・・・・・き、貴っ様ぁ、避けるとは卑怯だぞ!」

「アホか、おまえは。殴られるのが分かってて避けねー訳ねーだろ」

「お、おいレッド、おまえ、今のパンチで何人か民間人が・・・」
「(聞いてない)なら、これでどうだッ!」

大きく弧を描く後ろ回し蹴りが轟音とともにスイハーンに襲いかかるが、やはり分かりやすい予備動作のおかげで避けるのに難はなく、スカされて勢い余ってバランスを崩し、もんどりうって大地に倒れ込むキアインガーG。下敷きになった住宅は数十近い。恐怖と戦慄におののく悲痛な叫びが、今度はハッキリとブルーの耳に飛び込んできた。
「わー、バカ! おい今度こそ確実にやっちゃったぞ! どうすんだよ、おまえ!」
「大丈夫だ、みんな既に安全な場所に避難してる!」
「いや、だって今、聞こえたろ悲鳴! そりゃ逃げ遅れた人だって必ずいるよ! せめて建物とか壊さないように、もう少し気をつけて戦えよ! こんなデカイもの倒れたらアスファルトだってベコベコになっちまうだろーが、ってオイ、聞いてんのかレッド?」
「ようし、こうなったらアレを使う!」
「聞けよ、頼むから! 後ろのおまえらも、なんでコクピットに乗ると押し黙ってレッドに全部まかせっきりなんだよ? 何とか言えよ! 怖いんだよ、おまえら!」
必ィッ殺ぁーつッ!
 気合一閃ソードッ!
 大銀河ッ!
 ド根性落としィーーーーーッ!
真上から振り下ろされた巨大剣の一撃から繰り出される光り輝く剣勢が波動となって、大地と天空を砕き割る。切っ先へ向かって前方数十kmに渡って、この世のものとは思えないほど巨大なソニックブームによって地盤はえぐられ、めくれあがり、後には荒涼無惨たる不毛の残骸に吹きすさぶ暴風が巻き起こり、黒い炎を天高く吹き上げる地獄のような光景が残された。

ちなみにスイハーンは無傷。すんでの所で狙いが外れていたらしい。

「・・・・・・お、おまえら・・・なんて酷いことを・・・」

「ち、違う! 違うんだ、俺じゃねえ!
 俺は関係ないぞ、止めようとしたんだ、本当だ! なのにコイツが・・・」
「くそっ、野郎まだ生き残っていやがった! 今度こそ息の根を止めてやる!」
「だから止めろっつってんだろーが! もういい、もう戦うな! これ以上やると日本が滅びる!」
「次は最終究極ド根性兵器・・・」
「わーバカ、よせーッ! って、だから、なんでおまえら三人さっきからずっと黙ってんだよ!? こいつイカレてるぞ、何とかしろよ! おい、せめて返事くらいしろ、マジ怖いからー!」


「あのー、スイハーン様ー」
「お、おお。なんだ? 戦闘員1号」
「ええと・・・ 今日は、もうイイんじゃないでしょうか。本来の作戦とは全然ちがう成果ですけど、たぶん、ここまで壊滅的な被害あたえたのって今回が初めてだと思いますし・・・それに、さすがにコレ以上やったら、我々、やりすぎですよ」
「いや、やったのは俺じゃないんだけど・・・ でも、そうだよな・・・コレ以上は、さすがにな・・・・・・よし、じゃあ帰るか。なんか精神的にスッゲエ疲れちゃったし」


「む、スイハーンが巨大化を解いて帰っていく・・・ははーん、さてはキアインガーGの戦闘力に恐れをなしたか。情けないヤツめ」
「・・・・・・・・・・・」
「ん、どうしたブルー、そんな汗だくで息を切らして青ざめた顔して」
(だめだ・・・コイツら、俺がいて歯止めかけねえと何するか分かったモンじゃねえ! 今度からは絶対に巨大ロボ発動させねえようにしなくちゃ・・・・・・日本が、いや、地球が危ない!)

悪の魔の手から地球の平和を守るため日夜戦い続けるはずのキアイマンたち。だが今、地球を脅かしているのは他ならぬ彼ら自身の超越的な破壊力だった。負けるなブルー!地球を救えるのは君だけだ!精神をボロボロに壊されるまで彼らにツッコミを入れ続けるのだ!

力戦隊(2)
DATE:00/05/14(Sun) WRITING and EDITING:Johnnie the Fire
BELONGING:[ Committee for Eating 3 Owans of MESHI with Gal games ]