正義のヒーロー宮田(5)
今回のあらすじ:差出人不明の手紙を受け取って呼び出され、指定の場所で待つ宮田。
「うーむ、こんな切り立った海岸の崖に呼びつけるなんて・・・一体どんな子だろう? か、可愛い子だといいなー(例の血液循環臓器記号)」 「はーっはっはっはァ! まんまと現れやがったな、宮田! この間抜け野郎!」
「ナニィ、貴様は・・・・・・い、池沼ッ! 生きていたのか・・・!」
「てめえに会うために地獄の底から這い上がったのさ! 待ってたぜ、この時を!」
「俺に会うために、待ってた、って・・・・・・
じゃあ、この手紙書いたの・・・お、お前かッ!?」「その通りだ!」
「ちょっと待てええええええい! 俺はノンケだぞ、そんなつもりは全く無い!」
「はぁ? おい、おまえ何を言って・・・」
「わーバカ、近寄るな変態! そうか、お前そんな目で俺のこと見てたのか! やめろ、男同士なんて不潔だぞ、考え直せ! 俺はノーマルなんだ、変な道に誘い込もうとしないでくれ!」
「な、何なんだこいつは。大丈夫か?」
「あのう、池沼様」
「む、なんだ?」
「もしかして宮田の奴、池沼様の送りつけた果たし状をラブレターか何かと勘違いしてるんじゃ」
「ああ? そっ、そんな馬鹿な、どっから読んでも果たし状以外の何物でもない完璧な果たし状に仕上げた筈だぞ! いやマジで俺、徹夜して書いたもん! 『一夜漬けで分かる果たし状の書き方』ってマニュアル本まで買ったんだぜ、わざわざ560円も出して! 経費で落ちねえだろうから自腹でだ! それなのに・・・」
「あー、ええっと・・・あのー、すいません宮田さん、その手紙ちょっといいですか?」「え? う、うん。はい(と言って手渡す)」
「・・・どれどれ・・・・・・
『拝啓 宮田誠一様
突然のお手紙、驚かせてしまってごめんなさい。
私、あなたのことをいつも影ながら見守っていました。
最初は、ただ遠くからあなたのお姿を見ているだけで満足だったのですが、
今では一方的にお会いしたい想いが強くなってしまって、
もう自分でも抑えがききません。わがままなのは分かっています。
でも、どうしても、会って想いを伝えたいんです。12月26日の午後2時、(某地名)海岸の崖の上で待ってます。
もし、よろしかったら、私の想い、受け止めて下さい。草々』・・・・・・・・・・・・・あー・・・あの、い、池沼様・・・これは・・・・・・」
「どうよ? 完璧だろ? な?」
「はい、完璧にラブレターです」
「ガビーン! うっそマジで!?」
「基本的に果たし状はですます調で書いちゃダメです。あと可愛い便箋に青のボールペン書きもダメです。それから普通、封するのにハートのシールも使いません」
「そ、そうだったのか・・・ッ!」
「(遅えよ気付くのが)まあ、書いてしまったものは仕方ありませんけど」「え?何? 池沼、俺に気がある訳じゃないの?」
「当ったり前だバカ! どこの世界に殺されかけた相手に惚れる奴がいる!?」
「殺されかけたんですか?」
「おうよ、聞いてくれるか俺の話を!」
「いや別に、どうしても聞きたいと言う訳では」
「(無視)あれは俺と宮田が、まだ誠一1号・2号と名乗っていた頃だった・・・」
(80年代の漫才コンビみたいなネーミングだなあ)
「技の1号、力の2号・・・どちらかというと1号である俺の方が奴より人気があった。奴はそんな俺の人気を妬み、怪人との戦闘中に事故を装って俺をこの崖から突き落としやがったんだッ!」
「そうなんですか?」「いや、まあ・・・なんつーの、ホラ、アレだよアレ、よく言うじゃん、獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすのに全力を尽くすってやつ?」
「・・・なんか、だいぶ違ってますが」
「あ、あれ? えーと、獅子はウサギ一匹を倒すのにも千尋の谷に突き落とす、だっけ?」
「それって、その獅子もうただの千尋の谷マニアでしかないですよ。ウサギ食えねーし」
「訳の分からねえ格言で誤魔化そうったってそうはいかねえ! 宮田! 貴様は俺が殺す!」「くっ・・・もう・・・どうしても戦うしかないのか、池沼・・・ッ!」
「ああン? てめえ何をさも仕方なさそうな事を・・・全部てめえが悪いんだろうが!」
「池沼、俺達かつては互いの背中をかばいあった仲間だったじゃないか!
それなのに、何故こんな哀しい運命(さだめ)に・・・!」「・・・・・・お前ほんとブッ殺す。絶対ブッ殺す」
「あのう池沼様、我々はどうすれば?」
「手出しすんな! このクソ野郎は、俺の手で地獄に叩き落とさねえと気が済まねえ!」
「はぁ・・・じゃあ、どうしようもなくピンチになったらお助けしますね、一応我々も仕事なんで」
吹き荒ぶ強い潮風になびく、まばらに生えた草。距離をおいて対峙する二人の誠一。
「フッフッフ・・・・・・この時を、どれだけ待ち望んだことか・・・
嬉しいぜ、宮田! ようやく貴様を殺せる!」
「っていうかさあ、池沼ー」
「あ? 何だよ?」
「こうやって向かい合って話してると、どっちがどっちだか自分でも区別つかなくなんねえ?」
「む・・・実は俺も、お前の胸に書いてある<池沼>の文字がないと正直わからなくなりそうだ」
「相手の胸に書いてある名前が自分の名前、だよな」
「なんだって、こうもややこしい事に・・・」
「とにかく、いくぞ! 先手必勝いきなり池沼キィーック!」ガスッ。
「ぐあッ! き、汚ねえぞコラ! 宮田てめえ、そういう卑怯なとこ全ッ然変わってねえな!」
「知ったことかッ! 世の中、勝ったモンだけが正義を名乗るんじゃー! ぐわーっはははー!」「最低の正義のヒーローだな・・・」
「俺あんな腐り切ったこと言うヒーロー初めて見たよ」
「そもそも、さっきの池沼様の言ういきさつだと、宮田って俺らよりよっぽど悪党だよな」
「悪党っつーか、ただの下衆野郎じゃん。人間のすることじゃねえよ」
「俺、ワルモノ団で良かったわ。あんなクズに平和とか守ってもらいたくねーもん」「どおぅりゃー! 必殺、池沼南部十四年式拳銃ッ!(発砲)」
「わーオイちょっと待て! 普通ヒーローが飛び道具なんか使うか? そういうのは5人で群れないと悪と戦えないような腰抜けだけに許される武器じゃ・・・うおッ、かすった! やめろコラ!」
「うはははは、死ィねええェェェーーーーッ!(連射)」「あー、あいつ銃抜いたよ銃!」
「ホント最低・・・」
「もうフォローのしようがねえな」
「大体なんだって南部十四年式なんて古臭い銃なんだ」
「しかもアレは・・・前期型の小倉造兵廠製造モデルッ!?」
「なんで遠目にそこまで分かるんだよ、超能力者かおまえは」「でありゃああああッ! 死にやがれ! 宮田キィーック!」
ドゴッ。
「ぬぐうッ! やってくれるじゃねえかよ池沼・・・!
偽物は偽物らしく、大人しく本物の前に敗れ去りやがれ!」
「だから、もともと俺も本物だったんだっつーの! それをてめえが・・・!」
「俺の胸に燃える正義の心こそが本物だって事を分からせてやるぜ!」
「性懲りもなく、まだ言うか・・・もうホントにおまえ、絶対ブッ殺す!」「あー、待ってるだけってのも暇だなー」
「そういや最近さ、気になるアイドルとかっている?」
「おっ、俺! 森下純菜!」
「ええ〜? お前ああいうの趣味?」
「俺は当然、新山千春だな。あの子の目、すっげえイイわー」
「ひ、平井理央ってのはどうよ?」
「まあまあだな」
「今ひとつインパクトに欠けるフシがあるっつうか」
「そ、そう? 俺は好きなんだけど・・・」
「でもよ、まさかとは思うけど、榎本加奈子とかって好きな奴いねえよな?」
「おい冗談よせよ〜」
「あー俺もダメだ、ああいうの」
「・・・・・・・・・」
「おっ、おい、こいつ、もしかして!?」
「(ビクッ!)そ、そんな、何言ってンだよ! 好きな訳ねえよ、あんな女!」
「だよなあ」
「驚かすなよ、まったく」
「は、はは(ごめん! ごめんよカナちゃん・・・!)」「はぁ・・・はぁ・・・。ど、どうやら俺が本物だったらしいな。この勝負、俺の勝ちだ!」
「く・・・ッ!」「あ、見ろよ! なんか俺らが目ぇ離してる間に勝負つきそうだぜ!」
「何ッ? どっちだ? どっちが勝つんだ?」
「遠目からじゃ良く分かんねえな・・・どっちだ?」
「あれ・・・? オイ、やられてる方が池沼様じゃねえか!?」
「ああン? ホントか?」
「ホラ、胸に<池沼>って書いてあるし!」
「あ、ホントだ! 大変だ、すぐ助けに行かなきゃ! グズグズすんな!」「って、ちょっと待てよ・・・? たしか池沼って書いてある方は・・・
あ、もうみんな行っちゃった」「トドメだ、くたばれ宮田! そして俺は俺を取り戻す!」
「・・・・・・ッ!」
「長かったぜ・・・だがこれで全てが終わるッ! うおおおおおおッ!」「させるかあああああぁぁぁぁーーーーーッ!」
「池沼様、今お助けしまーーーすッ!」
「ぬおおおおおりゃああああああーーーーーーーッ!」「へ? お、お前ら、なんで・・・・・・ゲグッ! おぶッ! グハァッ!(吐血)」
「大丈夫ですか、池沼様!」
「危ないところでした!」
「え、あ、う、うん・・・・・・ありがとう」「ちょっと待てーおまえら! 俺が池沼だっつーの!」
「・・・・・・貴様、命惜しさに一度ならず二度までも名を騙る気か、この外道!」
「貴様のようなクズは池沼様の受けた屈辱を思い知れ!
おい、お前そいつの足持て。この野郎、崖から投げ捨ててやる」
「う、うっそぉーッ!? なあ待てって! あ、そうだホラ、胸! 胸のとこ見ろよ!」
「ああン?」
「な、ホラ、ちゃんと<宮田>って書いてあるだろ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「やっぱり宮田なんじゃねーかあああああッ!」
「・・・え? ああーッ! し、しまったッ! また説明が悪かった!? いやあの、ホントちょっと、ちょっとだけでいいから待って、説明聞いて、お願い! ね?」
「うるせえボケ!」
「てめえの話なんか聞いてると耳が腐ってもげ落ちるぜ!」
「このブタ野郎! 地獄に堕ちろ!」
「いや、ていうかマジで2回目は生き残る自信がねえよ俺! なあ、頼むからヤメてくれー!」
「おいみんな、せーので行くぞー」
「せーの!」
ぽーん。(投下音)
「あ」
ひゅるるるるるる・・・・・・。(落下音)
「う、うわあああああぁぁぁぁぁーーーーーーーッ!!!!!」
ざざーーん。ざざーーん。(そして後には、打ち寄せる波の音だけが残された・・・)
「・・・・・・これで悪は滅び去ったな・・・」
「つーか、俺らが悪なんだけどな、ホントは」
「でも、なんかこう、久々に・・・イイ事した! って気分だな。清々しいぜ」
「ホントはイイ事しちゃダメなんだけどな俺ら」
「さあ基地に帰りましょう池沼様! そしたら幹部の仲間入りですよ!」
「奴の死体は俺達で探しておきますんで、どうぞお先に帰還なさってて下さい」
「池沼様・・・今まで色々、大変でしたでしょうけど・・・」
「ようやく苦労が報われましたね!」
「あ、一応あれです、宮田に最初の一撃喰らわしたの俺ですんで、その辺よろしく」
「てめえ恩なんか売り込んでんじゃねえよ!」
「ま、何にしろ、ワルモノ団にとっても邪魔者が消えた訳だし」
「これで世界征服もいっそう近づいたな!」
「大佐も将軍も総統も、きっとお喜びになるぞー」
「へへっ、褒賞も出るかもな!」
「あれ? どうかしましたか、池沼様?」「え? いや、ううん、何でもない」
「おーい、みんなー!」
「あ、なんだあいつ?」
「一人だけ事が済んだ後に来てモロボシ・ダンみたいだな」
「何だ? どうかしたのか?」「はぁはぁ・・・お、お前ら、今どっち崖下に投げ捨てた!?」
「そりゃ勿論、宮田の方に決まってんだろ」
「ちゃんと胸にも<宮田>って書いてあったしな」
「うん、書いてあった」
「それが何なんだ? ん? どうした、顔青いぞ?」「・・・・・・それ・・・違う・・・」
「違う? 違うって何が?」
「・・・・・・・・・そっちが・・・投げ捨てた方が池沼様だよ・・・」
「・・・えええっ!?」
「あ、そういや逆・・・だったっけ、名前と胸の文字と・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ってことは・・・」
「俺達が助けた方が・・・・・・・」
「本物の宮田!?」
「あーッ! あの野郎もういねえ!」
「しまった逃げられたーッ!」
「うそッ!? え、あの、こ、こういう場合って、どういう・・・」
「せ、責任! 誰の責任!?」
「俺らじゃないよな!?」
「いや、それはさすがにマズイって!」
「やっぱアレだろ、宮田に勝てなかった池沼様の責任だろ!?」
「そ、そうだ! そうだよな!」「(ボソッと)・・・でも、勝ってたんだぜ、俺らが手出ししなきゃ・・・」
「・・・・・・・・・ッ!」
「いや、だから、それは・・・!」
「ほ、報告書・・・」
「?」
「報告書に書かなけりゃ・・・・・・全ては闇だ!」
「お、お前それはいくら何でも!」
「他にやりようがないだろ!」
「あわわ・・・た、大変なことになった・・・」
「ここはアレかな、アレ言っとくべきかな」
「そうだな、そうしよう」
「よし、せーので行くぞ」
「せーの」< ぎゃふん! >
「ってなわけで、しっつれーしましたー」
その後しぶとく生き残っていた池沼が、今度は宮田とワルモノ団とに復讐を誓ったというのは、また別のお話。めでたし、めでたし(註:宮田だけが)。
正義のヒーロー宮田(5)DATE:99/12/26(Sun) WRITING and EDITING:Johnnie the Fire
BELONGING:[ Committee for Eating 3 Owans of MESHI with Gal games ]
