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原作……E.T.シートン著、
『The King of Currumpaw : A Wolf Story』
(邦題『オオカミ王ロボ』)

参考にした主な訳書……
福音館書店刊、今泉吉晴訳、『シートン動物記3 カランポーのオオカミ王ロボ』
偕成社刊、白木茂訳、『少年少女シートン動物記(1)』など

(投下時期…03/11/18)



 ちょっと解説 :

 リハビリがてらの習作のつもりだったんですが、興が乗って最後まで 書き上げてしまいました。ただ、ひとつシートン先生のために断り書きをしておくと、これは飽くまでシートン先生の著作から二次創作した物語であって、ロボ と 呼ばれた実在のオオカミとは一切、関係ありません。野生動物を必要以上に擬人視することは本来的に彼らの本質を見誤らせるばかりでなく、彼らに対する科学 的考察や判 断を妨害する大きな要因の一つとなりえます。それはシートン先生の望むところでは決してないはずです。

 あくまでも『オオカミ王ロボ』はシートン個人の視点から描かれる物語であり、実際にロボがどのように考え行動したかについては、 その類い希 な観察眼に基づく状況的判断と推理とによって最小限の文学作家的な脚色を伴って語られるのみでしたが、この『狼王』は、つまるところ中世騎士の英雄譚の ようなものであって、 お話の大筋は損なわないよう注意を払って書いたつもりですが、細部は大幅に脚色してありまして、これは実際のロボやブランカとはまた別の物語としてお楽し み頂ければと思います。そのため 作中にロボ、ブランカという名前は一度も出しませんでした。これ は彼らの誇りと、名誉ある生と死に対する、自分な りの 敬意のつもりです。


 アーネスト・トンプソン・シート ン…1860年、英国サウスシールズ生まれ。五歳のとき両親と共にカナダの開拓農場へ移住、厳しくも広大な自然環境に囲まれて育つ。のちに ロンドンやパリで絵画を勉強。パリのサロンに出品し入賞した経験もあり、彼は作家、博物学者としてだけはでなく、挿絵画家としても多くの自著に作品を描き 添えている。彼が観察し、研究した様々の動物たちの中でも、とくにオオカミは彼にとって最も魅力的な対象の一つであり、その生涯をかけて並々ならぬ関心と 愛情を注いだ特別な存在で あったことは間違いない。晩年はボーイスカウトや社会教育に尽力。1946年没。


 ロボ……かつてニューメキシコ州カランポー平原に実在し、周辺の牧場主や猟師たち、あらゆる羊や牛や犬たちに恐れられたハ イイロオオカミ。並のオオカミよりも二回りほど大きく、その優れた賢性をもってあらゆる罠を見破ったとされる。ロボの 群れは少数精鋭で、全盛期から晩年にかけては妻のブランカを含む五頭の部下とのみ行動を共にした。五年間で二千頭を超える牛を狩ったとさ れ、最終的 には千ドルという破格の賞金までかけられたという。捕獲後の計量では体重は68kgだったとする記録があるが、その時点で既に彼は老いていた上に大変やつ れ、痩せ細ってい たそうなので、全盛期には更に巨大であったと考えるものもある。肩までの高さが90cm以上というだけで相当な巨体であることは容易に想像できるだろう。 確かに一噛みで雄牛を仕留める と しても不思議はない大きさである。また、これに反して、実際に捕獲されたロボは体重46kg、肩高69cm、 全長158cmであった、とする記録もある。

 シートンはロボを含め、当時の周辺地域で目立って恐れられていた何頭かのオオカミたちのエピソードからヒ ントを得て“狼王としてのロボ”という性格を組み立て『カランポーの王者』を執筆した。したがって、もちろん作中で語られる全てがロボの活躍ではないだろ うし、実際にロボの英雄的性格は脚色によるところが大きいのかも知れない―――しかしシートンの観察研究は決していい加減なものではないし、彼自身、文学 作品としての自作に非常に真摯な態度で臨み、また妥協を許さなかったであろうことは疑う余地もない。


 ブランカ……たとえば、生まれてすぐのアザラシやホッ キョクグマの毛並みが雪よりも白いのは、言うまでもなく汚れに晒されていないからであって、成長するに従って次第に薄黄色を帯びてくるものである。成狼で あるブランカの毛並みが素晴らしく白かったとするならば、それはきっとロボが四六時中でも丹念に毛繕いをしていたからではないだろうか? ほとんどの場合 オオカミは生涯を通じて一夫一妻を貫き、どちらかが死ぬまで添い遂げる愛情深い動物とされている。つまり好色な男を指して「オオカミ」と揶揄するのは大 間違いという訳ですな。


 月の女神……「大きな狼の隣に美女、てな組み合わせは絵になるなぁ」という、ボンヤリしたイメージからラクガキして出来上がっ たアドリブ部分ですが、なんだか描いてるうちに報われない愛人みたいになっちゃって、ちょっと気に入りです。最後の“ひざまくら”は描いてて素直に楽し かった。おしあわせに。


DATE:03/11/16 (Sun) WRITING and EDITING:Johnnie the Fire
BELONGING:[ Committee for Eating 3 Owans of MESHI with Gal games ]